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Vガンダムの最終回「天使たちの昇天」での名場面についての考察です。

「雪…?」
このときのカテジナさんは視力を失っていたようですが、記憶も失っていたという説があります。それは知っているはずのシャクティのことを「お嬢さん」と呼んでいたからだと思われますが、果たして本当に記憶を失っていたのでしょうか。作中では記憶の有無について描かれていないので、ここからは完全な想像です。
カテジナさんはシャクティのことを覚えていたのだと思います。
もちろん視力は失っているので、始めに話しかけたときは気づかなかったのでしょう。「人がいらっしゃるのですか?」と言っているくらいですから。しかし話しているうちに相手がシャクティだと気づいてしまったのだと思います。それでもカテジナさんはシャクティに気づいていない振りをしたのではないでしょうか。もっと言えばカテジナさんは自分がシャクティに気づいていることを知られたくなかったのだと思います。
そんなカテジナさんに対して、記憶を失っていないはずのシャクティまで他人のように接してオートコンパスを取って戻ってきます。
そして動揺しているカテジナさんに「どうなさいました?」とシャクティが問うと、カテジナさんは「いえね、冬が来るとわけもなく悲しくなりません?」と答えます。このときカテジナさんの声が震えているんですよね。それから「ありがとう、お嬢さん」といってカテジナさんは去っていきます。目が見えないのだから相手がどのような人かもわからないはずなのに、あえてお嬢さんといった辺り、自分はシャクティだと気づいていないというアピールだったのではないでしょうか?
シャクティから離れた後、カテジナさんは「ウッ…ウッ…」と泣いているような声を出します。冬が来て悲しいからってこんな声は出さないでしょう…あるいは故郷に帰れる嬉しさとか、記憶を失ったとしたらそれに対する悲しみだとも考えることは出来ます。が。
カテジナさんは記憶はあったのだけれど、それでもシャクティに気づかない振りをしなければならないわけがあったのだと思います。それは何なのかというと、

カテジナさんのプライドが許さなかったからでしょう。
カテジナさんは良家のお嬢さんであり、プライドが非常に高いと思われます。落ちぶれてしまった自分の姿をシャクティに見られるのが苦痛だったのではないでしょうか。そのために、あえて知らん振りをして、気づかない振りをして去ったのだと思います。
カテジナさんのプライドが高いというのは、盗み撮りしていたウッソをバカにするところや、パイロット時代の周囲に対する強気な態度から間違いないと思われます。というかカテジナさんのプライドが低かったら年下のウッソをバカにすることもなかったでしょうし、そんなウッソがMSパイロットして天才的な能力を持っていることにも嫉妬しなかったでしょう……。
そんなカテジナさんを知っているからこそ、シャクティも一緒になって気づかない振りをしたのでしょう。そしてシャクティがそんな態度をとるということは、知らん振りしているカテジナさんの思惑がバレバレだということでもあり、当然カテジナさんもそれに気づきますが最後まで知らん振りで通します。しかしその胸中は複雑なもので、悔しさや惨めさから「ウッ…」という声が出てしまったのだと思います。というか、富野監督は「冬が来るとわけもなく悲しくなるから」なんてどうでもいいような理由で悲しむシーンを最後にもってこないんじゃないかなあ…と思います。やはりこれはカテジナさんの下手な嘘なんじゃないかなあ、と。
長々と書きましたが、まあ結局のところ、本当はどうなのかわからないんですけどね。視聴者がそれぞれ想像したり思いを馳せればいいと思います。深く考えて見なくても心に残るいいシーンだと思いますしね。
地位も視力も記憶も失ってしまったかわいそうなカテジナさん、よりも、地位も視力も失ってしまったけど強がってしまうカテジナさんの方がらしいかなとは思います。カテジナさんにとっても富野監督にとっても。いや、監督は別にいいんですけどね。
ちなみにVで一番好きなキャラクターはもちろんカテジナさんですが、二番目はトマーシュだったりします。最終回での扱いの低さはある意味カテジナさんよりかわいそうです…。出番がないと、わけもなく悲しくなりません?ならないか…トマーシュじゃ…。
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